#20 測定計画
法令による濃度基準値が設定されスクリ-ニング調査の結果、ばく露される程度が濃度基準値を超えるおそれがあった化学物質の場合は確認測定が必要となります。その場合の測定方法は、法令により定められており、定められた方法又はそれと同等以上の精度を有する方法に従って試料採取及び分析を行うことになります。他方、濃度基準値の設定がなく法令による測定法が示されていない化学物質については、当社では、米国NIOSH等に示される測定精度が確認されている方法を採用して測定を行います。下記に確認測定(標準測定)の測定計画を示します。
【確認測定(標準測定)の測定計画】
(1)測定対象者:最大ばく露労働者(1名以上)
2名以上が望ましい。最大ばく露労働者が特定できないときはばく露作業従事者の1/5程度。
(2)試料採取方法及び分析方法
濃度基準値が設定されている化学物質については、厚生労働省告示に定める方法(参照:物質別の試料採取及び分析方法)、又は同等以上。
(3)8時間濃度測定
①原則8時間、但し同一濃度とみなせる場合は2時間に短縮可。
②8時間未満もしくは8時間超の作業は全ての作業時間、但し8時間荷重平均値に換算。
(4)短時間濃度測定(最大濃度と思われる15時間荷重平均値測定)
1回以上、但しばらつきを考慮して3回が望ましい。
(5)混合物の扱い
有害性が同一臓器の場合は混合物として評価する。
(6)評価
①8時間濃度測定結果については、8時間濃度基準値又はその他のばく露限界値(ACGIH TWA等)と比較する。短時間濃度測定結果については、短時間濃度基準値又はその他の短時間ばく露限界値(ACGH STEL等)と比較してて評価する。
②8時間濃度基準値(又はその他のばく露限界値)と短時間濃度基準値(又はその他の短時間ばく露限界値)の両方の基準値がある物質については、測定結果がそれぞれの基準値にたとえ適合していても、短時間濃度測定結果が8時間濃度基準値(又はその他のばく露限界値)を超える最大の回数を4回とし、その最短の間隔を1時間以内であることが望ましい。
③8時間濃度基準値(又はばく露限界値)はあるが短時間濃度基準値(その他の短時間ばく露限界値)がない物質については、8時間濃度基準値(又はその他の短時間ばく露限界値)にたとえ適合していても、いずれの時間帯についても短時間濃度測定結果が8時間濃度基準値(又はその他のばく露限界値)の3倍を超えないようにすることが望ましい。
#21 標準測定に使用するサンプリング機材と分析装置
標準測定に使用するサンプリング機材及び分析装置は、化学物質の性状に合わせて適切なものを選択します。下記に当社が使用している主な測定装置を紹介します。
【揮発性・半揮発性の化学物質】
【反応性がある化学物質】
【金属・粉じん性の化学物質】
【ミスト状・その他性状の化学物質】
#22 リアルタイムモニター短時間濃度測定(参考値)
「技術上の指針(令和5年4月27日技術上の指針公示第24号)」によれば短時間濃度基準値の設定がない化学物質についても、労働者が一定以上の高濃度ばく露を受けないように努力義務がかされています。
当社では、リアルタイムモニターを用いた短時間濃度測定(参考値)の測定サービスを提供しています。全作業時間帯について連続測定を行いますので、測定後の解析から最も濃度が高かった15分間を抽出し短時間濃度測定結果として報告することができます。また、リアルタイムモニター測定結果から、作業中の全ての時間帯の化学物質によるばく露濃度の推移(高濃度ばく露の回数や間隔等)が分かることから、リスク低減措置を図る上で大変役立つ情報となります。なお、妨害成分がある場合は測定できない場合もあります。
#23 確認測定の流れ(1)(お客様によるサンプリング)